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第2回:変革の時代に経営者が向き合うべき5つの課題とは 今、舵を切るべき方向

  • 2025.08.20

「これまで通り」の経営では通用しない時代。
タイを取り巻く外部環境の激変と、企業内部に存在する構造的な課題が複雑に絡み合うなかで、未来を切り拓けるかどうかは、まさに経営者の意思決定にかかっています。

本記事では、これからの経営において避けて通れない「5つの変革テーマ」を整理し、いま何を見直すべきかを提示します。


成長戦略と構造改革の再設計

第一に求められるのは、市場構造の変化に応じた事業の再定義です。

とりわけタイでは、自動車産業をはじめとした主要分野でのEV化や中国メーカーの台頭など、既存の競争優位が揺らいでいます。「従来モデルのままでは通用しない」という危機感が、すでに現場からも上がっています。

構造改革とは、単なるコスト削減や拠点縮小ではありません。
「何をやめるか」「どこに集中投資するか」「どのように勝ち筋を描くか」事業ポートフォリオの再構築が問われています。


デジタル化とテクノロジー投資の再評価

工場の自動化、業務の標準化、AIを活用した市場リサーチなど、テクノロジーは競争力の源泉となりつつあります。

かつて数百万円のコストがかかっていた調査が、AIの活用により数千円・数十分で完了する時代。
「どのタイミングで、どこに投資するか」の判断は難しいものの、いまや「やらないリスク」の方がはるかに大きいのが現実です。

デジタル化を避けるのではなく、「経営資源としてどう活かすか」を検討すべきフェーズに入っています。


サプライチェーンと地産地消の再構築

地政学的リスクや通商摩擦の影響で、「国から国へ運ぶ」モデルの限界が明らかになりつつあります。

こうした背景のなかで、現地調達率の向上地産地消型モデルへの転換は、もはや戦略オプションではなく、競争力を維持するための前提条件になっています。

サプライ網の再設計は、単にコストの話ではなく、将来の柔軟性・持続性・収益性を左右する重要なテーマです。


組織の現地化とローカル人材の活用

駐在員を中心とした統治型マネジメントの限界が、顕在化しています。

「自分たちでは意思決定できない」という感覚が現地社員の当事者意識を弱め、優秀な人材の離職やパフォーマンスの低下を招いています。

経営として重要なのは、単なる「駐在員の削減」ではなく、ローカル人材に責任と裁量を持たせるための仕組みづくり。キャリア設計・評価制度・育成プロセスを整え、主体的に動ける環境を構築することが必要です。


グローバル競争下での事業の再定義

市場では、日系企業だけでなく、欧米・中国・韓国企業との競争が一層激化しています。

こうした環境下で、「誰が市場を担うべきか」「日本人が営業に出るべきか」といった問いに対し、従来の配置前提にとらわれない再設計が求められています。

ターゲット市場に応じた最適人材の配置、リージョン単位での意思決定権移譲、グローバル人材の育成など、視座の高さと構想力が経営力として問われる時代に入っています。


まとめ:今の先送りが、未来の重荷になる

  • 変化は待ってくれない。先手を打つことが経営者の責任
  • 5つの変革テーマは、戦略・組織・人材・市場の再定義を迫るもの
  • 駐在員制度の限界を超えて、ローカル拠点を未来起点で再構築する必要がある
  • 「あと1年乗り切ればいい」ではなく、「5年後に残る仕組みをつくる」ことこそが、経営者としての真の成果

【次ページ】第3回:ローカル人材の主体性を引き出す「現地化3.0」とは 

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執筆者

森田 英一
beyond global group
President & CEO
森田 英一

大阪大学大学院 基礎工学研究科卒業。大学時代に、国際交流サークルを立ち上げる。大学院時代にアメリカとイギリスで海外でのインターンシップを経験。大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュア(当時、アンダーセンコンサルティング)にて人・組織のコンサルティングに従事。 2000年にシェイク社を創業し、代表取締役社長に就任。若手の主体性を引き出す研修や、部下のリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発のファシリテーションに定評がある。10年の社長を経て、現在は、beyond globalグループのPresident & CEOとして、グローバル人材育成事業、日本企業のグローバル化支援、組織開発、ナショナルスタッフの人財開発、東南アジアの社会起業家とソーシャルイノベーション事業等、各種プロジェクトを行っている。株式会社シェイク 創業社長・現フェロー。 著作に「どうせ変わらないと多くの社員が諦めている会社を変える組織開発」(PHPビジネス新書)「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「自律力を磨け」(マガジンハウス)「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」(PHP出版)「3年目社員が辞める会社 辞めない会社」(東洋経済新報社)等がある。