Article

第5回:オープンなコミュニケーション文化をどうつくるか 声が届く組織が人をつなぎとめる

  • 2025.08.20

社員が声を上げられない。提案しても変わらない。何を言っても無駄だと感じてしまう。我々がタイ人従業員へのインタビューを実施するとよく耳にする社員の声です。そんな空気が蔓延する職場では、エンゲージメントは自然と低下し、離職のリスクが高まります。

本記事では、組織に根づく“閉塞感”を打破し、社員の声が届く「オープンなコミュニケーション文化」をいかに育てていくかを構造的視点から考察します。


心理的安全性は「構造」で支えられる

心理的安全性という言葉はよく使われますが、単に「話しやすい雰囲気」や「仲の良さ」を意味するものではありません。以下のような状態が前提になります:

  • 発言によって不利益を被らないという信頼感
  • 上司が傾聴し、意見を歓迎する姿勢をもっている
  • 自分の考えが組織に影響を与えられるという実感

こうした状態は、雰囲気で生まれるのではなく、制度やマネジメントの運用の積み重ねによって初めて実現されます。


「縦関係」は文化ではなく“仕組みの問題”

「タイでは上下関係が強くて意見が言いづらい」といった声を耳にすることは多いですが、それは文化というよりも、構造に起因するケースが少なくありません。

  • 上司が部下の意見を聞く場がそもそも存在しない
  • 評価が上司の主観で決まり、異議申し立ての機会がない
  • 意見を言っても「何も変わらなかった」という経験が繰り返されている

こうした仕組みが変わらなければ、現場の声が消え、コミュニケーションは閉ざされてしまいます。


声を拾い、反映する仕組みを持つ

オープンな文化づくりは精神論ではなく、具体的な制度設計と運用によって実現可能です。

  • 社員サーベイや1on1など、意見を拾う仕組みの整備
  • 意見に対するフィードバックループの確保(「検討中」で終わらせない)
  • 小さな改善を迅速に反映し、「変化できる組織」という成功体験を重ねる

「声を出せば変わる」という実感が生まれれば、社員の関与度は自然と高まり、組織の活性化と定着率向上につながります。


まとめ:“聞く力”が、離職率を左右する

  • 発言しづらい雰囲気の背後には、構造的な課題がある
  • 上司の傾聴姿勢と制度による支援が、心理的安全性を育てる
  • 小さな声にこそ耳を傾け、そこから大きな離職を防ぐことができる
無料個別相談会

beyond global group では、日本企業のグローバル化促進・企業体質の変革支援のために無料個別相談会を実施しております。 弊社のコンサルタントが、企業様のお悩みをお聞きした上で、課題の整理 / 他社事例のご紹介 / 予算の算出 / 解決策のご提案をいたします。

執筆者

森田 英一
beyond global group
President & CEO
森田 英一

大阪大学大学院 基礎工学研究科卒業。大学時代に、国際交流サークルを立ち上げる。大学院時代にアメリカとイギリスで海外でのインターンシップを経験。大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュア(当時、アンダーセンコンサルティング)にて人・組織のコンサルティングに従事。 2000年にシェイク社を創業し、代表取締役社長に就任。若手の主体性を引き出す研修や、部下のリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発のファシリテーションに定評がある。10年の社長を経て、現在は、beyond globalグループのPresident & CEOとして、グローバル人材育成事業、日本企業のグローバル化支援、組織開発、ナショナルスタッフの人財開発、東南アジアの社会起業家とソーシャルイノベーション事業等、各種プロジェクトを行っている。株式会社シェイク 創業社長・現フェロー。 著作に「どうせ変わらないと多くの社員が諦めている会社を変える組織開発」(PHPビジネス新書)「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「自律力を磨け」(マガジンハウス)「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」(PHP出版)「3年目社員が辞める会社 辞めない会社」(東洋経済新報社)等がある。