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第3回:等級と役割を“評価と育成”にどう活かすか 現場で機能させる視点

  • 2025.07.15

タイの企業では、等級定義や役割の期待がそもそも十分に整理されていなかったり、あっても現場でうまく使われていないケースが少なくありません。その結果として、評価や育成の場面で基準があいまいになり、「結局、何を評価して、どう伸ばせばよいのか分からない」という声が出てきます。

しかし本来、等級や役割の定義は「そのポジションにいる人が、どのような成果や役割を担うことを期待されているか」をはっきり示すものであり、単なる格付けの道具ではありません。評価や育成の土台として機能し、社員一人ひとりの成長の方向を具体的に後押しする“使える基準” であるべきです。

今回は、等級や役割を現場でどう活かし、評価と育成をつなげて機能させるかを整理します。

等級定義を「評価と育成の基準」として機能させる

等級定義は、会社として「どのような役割・成果を期待するか」を社員に伝える基準です。
具体的には、

  • その等級でどのような責任を果たすべきか
  • どのような行動や結果を出せば評価されるのか

を明文化したものです。

タイの現場でも、この等級定義をマネジャーが日常の面談や指導でしっかり使い込み、「いま、どの部分を強化すべきか」を部下に伝えられる状態にしておくことが大切です。こうすることで、等級は評価基準としての公平さ育成の道しるべの両方を支える役割を果たします。


昇格の基準を「成長の会話」に活かす

昇格は単なる査定の手段ではなく、「次の役割を任せられる状態にあるかどうか」を確かめる場でもあります。

評価者が昇格の条件や期待を理解し、その内容を部下と共有しながら面談で伝えることで、
社員にとって評価は「自分の成長につながるプロセス」として感じられるようになります。

  • 「次の等級で期待される役割はこうだよ」
  • 「現状ではここまでできている、あとこれを伸ばそう」

という会話を定期的に行うことが、納得感のある昇格と育成につながります。


目標設定に等級をつなげる

評価・昇格・育成のプロセスはすべて、等級定義を土台として接続されています。目標設定の場面でも

  • その等級にふさわしいチャレンジになっているか
  • 役割の遂行にしっかり結びついているか
  • 結果だけでなく取り組み方や考え方も評価できる内容か

といった観点で等級を活かすことが重要です。タイの現場でも「目標はあるが中身が形だけ」というケースが多いですが、等級に基づく期待とセットで目標を設定することで、社員にとっての成長の意味づけが変わります。


現場で「等級を使う」習慣をつくる

せっかく定義した等級も、マネジャーが使わなければ意味がありません。
例えば

  • 面談の中で等級の期待を確認する
  • 日常の声かけで「その行動は等級の期待に沿っているか」と問いかける
  • 進捗を振り返るときに等級の要件を基準にする

といった使い方を継続的に行うことで、等級は評価と育成の共通言語として現場に根づいていきます。


まとめ:等級を「評価と育成の道具」として使い込む

  • 等級は、評価の公平さと育成の方向性を支える基準
  • 昇格要件を成長の会話に活かす
  • 目標設定に等級の期待を結びつける
  • マネジャーが等級を日常的に「使う」意識を持つ

制度としての等級を作るだけで終わらせず、現場のマネジメントにおける評価と育成の軸として機能させる視点を持つことが、タイ現場の成長にとって大きな一歩となります。

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執筆者

森田 英一
beyond global group
President & CEO
森田 英一

大阪大学大学院 基礎工学研究科卒業。大学時代に、国際交流サークルを立ち上げる。大学院時代にアメリカとイギリスで海外でのインターンシップを経験。大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュア(当時、アンダーセンコンサルティング)にて人・組織のコンサルティングに従事。 2000年にシェイク社を創業し、代表取締役社長に就任。若手の主体性を引き出す研修や、部下のリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発のファシリテーションに定評がある。10年の社長を経て、現在は、beyond globalグループのPresident & CEOとして、グローバル人材育成事業、日本企業のグローバル化支援、組織開発、ナショナルスタッフの人財開発、東南アジアの社会起業家とソーシャルイノベーション事業等、各種プロジェクトを行っている。株式会社シェイク 創業社長・現フェロー。 著作に「どうせ変わらないと多くの社員が諦めている会社を変える組織開発」(PHPビジネス新書)「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「自律力を磨け」(マガジンハウス)「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」(PHP出版)「3年目社員が辞める会社 辞めない会社」(東洋経済新報社)等がある。