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第4回:納得感のない評価が成長を止める “レビュー”を対話に変えるマネジメント

  • 2025.08.20

タイにおけるエンゲージメントサーベイにおいて、満足度が低く、離職との相関が高く出る項目の一つが「パフォーマンスレビューと評価」です。

「なぜこの評価なのか説明がない」「成果をきちんと見てもらえていない気がする」こうした声の背景には、評価制度そのものの不備というよりも、マネジメントとの対話の欠如があります。

本記事では、評価を社員の成長に結びつけるための運用と、上司の関わり方について考察します。


評価への不信感がもたらす悪循環

納得感のない評価が繰り返されると、社員の意欲や定着に悪影響を及ぼします。たとえば:

  • 頑張っても報われないと感じ、モチベーションが下がる
  • 何を評価されているか分からず、努力の方向性が曖昧になる
  • フィードバックがなく、自己成長の実感が持てない

このような状態が続けば、「このままこの会社で働き続ける意味があるのか」といった疑念が芽生え、離職の引き金になってしまいます。


評価は「ランク付け」ではなく「対話の機会」

評価の本質は、社員を区分けすることではありません。むしろ、行動や成果を見つめ直し、今後の成長に向けたフィードバックを受け取る場であるべきです。

そのためには、以下のような対話が欠かせません:

  • どの行動や成果が評価されたのかを具体的に伝える
  • 期待されている役割と現状の差分を明確に共有する
  • 今後目指すべき成長の方向やステップを話し合う

このような対話があって初めて、社員は評価を“納得できるもの”として受け止め、前向きに次のアクションを描くことができます。


「語れる上司」が制度の信頼性を決める

どんなに制度が整っていても、それを運用するマネジャーが説明できなければ、制度の信頼性は保てません。

特に重要なのは、以下の3点です:

  • 上司が評価基準を理解し、自分の言葉で伝えられる
  • 評価面談が結果通知で終わらず、双方向の対話になっている
  • 社員の強み・課題・次の一歩を明確に言語化して伝えている

とくに海外の現地法人では、「ネガティブなフィードバック=失礼」と受け止められる文化背景もあり、評価を避けがちです。だからこそ、評価を“対話の場”として丁寧に運用することが、信頼と成長の基盤になります。


まとめ:評価は「対話の質」で差がつく

  • 制度の内容以上に、それを語れる上司の存在が重要
  • 納得感は、具体性と双方向性のある対話から生まれる
  • 評価を「成長のプロセス」として活かすことで、エンゲージメントと定着率が高まる

評価は、“点数をつける場”ではなく、“未来を描く対話”です。社員とのコミュニケーションの中で、評価を「成長を支援するツール」として機能させていくことが、強い組織づくりへの第一歩となります。

【次ページ】第5回:オープンなコミュニケーション文化をどうつくるか

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執筆者

森田 英一
beyond global group
President & CEO
森田 英一

大阪大学大学院 基礎工学研究科卒業。大学時代に、国際交流サークルを立ち上げる。大学院時代にアメリカとイギリスで海外でのインターンシップを経験。大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュア(当時、アンダーセンコンサルティング)にて人・組織のコンサルティングに従事。 2000年にシェイク社を創業し、代表取締役社長に就任。若手の主体性を引き出す研修や、部下のリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発のファシリテーションに定評がある。10年の社長を経て、現在は、beyond globalグループのPresident & CEOとして、グローバル人材育成事業、日本企業のグローバル化支援、組織開発、ナショナルスタッフの人財開発、東南アジアの社会起業家とソーシャルイノベーション事業等、各種プロジェクトを行っている。株式会社シェイク 創業社長・現フェロー。 著作に「どうせ変わらないと多くの社員が諦めている会社を変える組織開発」(PHPビジネス新書)「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「自律力を磨け」(マガジンハウス)「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」(PHP出版)「3年目社員が辞める会社 辞めない会社」(東洋経済新報社)等がある。